レコーディングのこと

今回で、ソロ・ギタリストとして15枚目(企画CD含む)のCDになります。ので、15回は一連の作業としての録音をしてきたことになるんですが、やっぱり、ソロ・ギター録音というのは“孤独な世界”なんだなぁというこに気づかずにいられませんね。ライヴだと、目の前にお客さまがいらっしゃいますし、反応も瞬時に返ってきます。ステージ⇔客席とのやりとり(ギヴ&テーク?)もあります。が、レコーディングでは、一変して、見渡せば「壁」というモノ言わぬ状況に囲まれた世界ですし、しかも温もりとか、優しさに包まれた空気感というものがありません。無機質な機械的な環境の中で、感情をコントロールしていかないといけないんです。

その上、音がすごく良いだけに(残念ながら、家庭では同じ音で聴けない)、ちょっとしたノイズ、例えば、椅子が動く音、足のタップ音、弦のこすれる音、息の音なども気になるんですよね。一番困るのは、ライヴでは一瞬にして消えていく音でも、いざ、録音するとなると気になる音になってしまうこと。指の運び方からくるビビり音とか、弦が押さえきれずに出る音とか、ポジションによって、若干、音が上がってしまいチューニングがくるって聞こえる音など。すべて、「気になる音」になってしまうんです。で、それを“自然な音”としてそのまま残しておくのか、いや、それは“雑音”だと解釈してやり直すのか、ここで意見が分かれるところなんですよねぇ。僕の場合は、その部分が明らかに間違いに聞こえない限り、できるだけ流れを重視したいので、そのまま残す方向でいくほうが多いようです。

面白いもので、完璧を目指すと粒ぞろいにはなりますが、なぜか平坦な演奏になりがちで、失う部分が多いんですよね、意外と。逆に、粗いままだと、それこそ、そのままの雑な感じになるし。だから、いつも言っているように、レコーディングは「よし、これでok」と見極めるタイミング(止め時)がすごく大切なんですよね。ので、例えば、同じ曲を10テーク録って、10テーク目が3テーク目を上回るという保障はないんです。また、その逆も真なりです。しかも、集中力に限界もありますし。

ん~、今回も勉強の連続で、まだまだ学ぶことは多いですねぇ(笑)。