レコーディングを終えて

ソロギターのレコーディングは孤独です。スタジオのブースに入った時点から、そこは「自分だけの空間」。誰も助けてくれません。もちろん、エンジニアの方の精神的なサポートはありますが、演奏という点では、頼れるのは自分だけです。まさに、自分との闘い。それに、集中力をキープできるかどうか、という大きな問題が重なります。僕の場合、「一日に3曲録音」のペースが丁度よく、ここ数年はそのペースできています。

レコーディングの際、演奏している時だけではなく、プレイバックを聴いているときも同じくらいの集中力を使いますので、かなり疲れます。以前、同時通訳をされている方の話しを聞いたことがあるのですが、15分もやればフラフラになるそうです。それほど集中するとエネルギーを使う、という好例ではないでしょうか。

毎回思うことがあります。それは、ライヴと違って、レコーディングの場合は、感情過多にならないほうがいいような気がする、ということ。ライヴの場合だと、目の前にお客様がいらして、「見られている」ということと、空間なども味方につけて自然な形で感情移入できるのですが、一方、無機質な環境のレコーディングスタジオのブース内では、なかなか感情部分を素直な形で音に伝えるのは難しいところがあります。どちらが良いということではなく、別モノでは(?)と思うようになってきました。もちろん、これは感情部分を無視しているということではなく、感情の強度というか「思い方」が違うのかなと感じております。ライヴだと、「すぐそこにいる人」に対して移入していくわけですが、レコーディングだと「遠くにいる人」に向かう(届ける)感じ、と言えばいいのでしょうか・・・うまく表現できませんが。

いずれにしても、ニューCD“アコギの魂ひゃくまで”の収録曲が皆さまの心に響くことを願ってやみませんし、ぜひとも、リリースされた折りにお聴きいただければと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。