近い客席・遠い客席

僕が演奏する場所は小さなお店が多くて、ステージから最前列のお客さまとの距離が1メーターくらいの時もあるんです。まさに、「まな板の鯉」状態(笑)。この至近距離ゆえ緊張したりとか、やっぱりあるんですよねぇ。「見られている」という感覚は大ホール(遠い客席)でもあるんですが、小さなお店では「見られている」というのを、より強烈に意識するわけですから、どうしてもプレッシャーになってしまいます。何十年やってても、出番前(とくに5分前)とか最初の1~2曲は緊張するのに、そのうえ距離感からくる緊張も加わるわけですから、いつもライブの入り方には気を使います。

この「緊張感」、好いほうに転ぶと集中力が高まるから大歓迎なんですが、逆に、緊張しすぎると頭の中が真っ白状態になってパニックに・・・指がとんでもないところを押さえたり、歌手だと、急に歌詞が出てこなかったりとか、例のイヤ~な感覚。ちょうど、高所恐怖症の人が(僕のこと!)高いところへ上ったときの感覚に似てるのかな(笑)。

一方、大ホールの場合、あの客席までの遠い距離に救われることが多いんですよね。演者は、広い空間を利用して、文字通り「遠い存在」でいられますし、照明や音響の助けもあります。僕は、すばらしいアーティストとは、この空間(距離)を上手く(&さりげなく)使える人ではないかと思っています。

もちろん、ライブ・ハウスにも狭いなりに空間があります。理想を言えば、その狭い空間で広い空気感が出せればいいなぁ、ということなんですが・・・

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