スタンダードの魅力

先日の個人ギター・レッスンの際、ある生徒さんの希望曲がスタンダードナンバーの「♪枯葉」でした。じつは、この曲は僕のレパートリーに入っていなくて、急遽、あわててアレンジをやることになったんです。久しぶりに時間の制約を感じながらの作業でしたが、思ったよりすんなりと行き、ものの1時間ほどで完成しました。これも、メロディーの良さならではだと思いますねぇ。だから、スタンダードになっているんだなぁ、と、あらためて納得。

究極的に言えば、リスナー(ライヴのお客さまも含め)の深い魂(ソウル)の部分に届くものとは、ギターのテクニックとか表向きのものではなく、メロディーが奏でる物語の部分だと思うんですよね。もちろん、テクニックは表現力(感情)を支える部分として必要不可欠ですが、あくまでも屋台骨として、“陰”の存在でいいような気がするんです。でも、このテクニックの呪縛から解き放たれるまでには、相当の経験と時間が必要になると思います。僕も人並みに色んな段階を経て現在に至っているわけですが、今なら「メロディーありき」と声を大にして言えそうです。

僕の理想は、故レイ・チャールズのようなギターを弾くこと。彼はシンガーでしたが、そこには、人種と言語を超えた、まさに「ソウル」(ハートより深い!)がありました。少しでも、あの魂を揺さぶる歌声にギターで近づきたいと願うばかり・・・